未経験者が真っ先に投入される現場は、ネットワークの運用監視です。高度なスキルは必要ありませんが、ITインフラを支える大切な仕事です。
ネットワークの運用監視と書かれても具体的にイメージできない人も多いはず。そこで、なるべく簡単にITの知識がゼロでも理解できるように説明します。
それでは、ネットワークエンジニアの登竜門とも呼べる仕事についてみていきましょう。
- ネットワークの監視とはなにか
- なにを使ってネットワークの監視をするのか
- 監視端末でなにを監視しているのか
- ネットワーク障害時に求められること
- ネットワークの運用について
- 運用業務の詳細
- ネットワーク運用監視の勤務体制
- 運用監視チームとは
- 勤務地について
ネットワークの保守に興味のある人は「ネットワークの保守とは」を参考にして下さい。
また、ネットワークの運用監視だけでなくサーバの運用監視も業務に含まれている案件もあります。サーバの運用監視については下記の記事をお読み下さい。
ネットワークの監視とはなにか
まず監視業務と運用業務で分けた方が仕事内容を理解しやすいので、ネットワークの監視から説明します。
ネットワークの監視とはネットワークの状態を確認する仕事です。サーバ室のネットワークの機器やサーバを目視して、機器のエラーを調べることもしますが、業務の中心は監視端末(モニター)を眺めるのが仕事です。
なにを使ってネットワークの監視をするのか
もちろんソフトウェアで監視します。代表的な監視ソフトとしては、JP1やTivoli、WebSAM、Nagios、Zabbixなどがあります。ネットワークやサーバの監視用ソフトウェアは、商用(有料)のものから無料(オープンソース)まで、記載したもの以上にたくさんありますが、基本的に同じことをしています。ネットワークやサーバの状況確認です。
ネットワークに障害が起きると、ネットワーク機器が監視ソフトにメーセージを伝えます。
- 「ルーターAのCPU使用率が80%超えてるよ。」
- 「ポートがダウンしてる。」
- 「ディスクがいっぱいになってるよ。」
エラーメッセージを受け取った後の表示や告知の仕方は案件(企業)ごとに様々です。まず、監視ソフトなのでアラートメッセージが表示されるのは当たり前ですが、メール送信機能と連動させることで担当者にすばやく告知する仕組みや道路工事で使うようなランプがクルクル回るような仕組みを導入していることろもあります。
監視ソフトに監視対象機器の設定をするだけでなく、プログラムを書いて独自機能を実装している企業が大半です。もちろん運用監視の仕事でプログラムを書くことはありませんので、ご安心下さい。もう少し上位フェーズでの仕事です。
#ITの仕事は上位フェーズの方が面白いので、頑張ってITにかじりついていきましょう。
監視端末でなにを監視しているのか
ネットワークのやサーバの状況を監視します。企業によって監視対象はマチマチですが、一般的にネットワークとサーバです。監視には大きく分けて「死活監視」と「リソース監視」があります。
- 死活監視とは機器が起動していることの確認。
- リソース監視とはCPUやメモリ、ディスクやネットワークの稼働状況を監視します。
ネットワーク障害時に求められること
監視スタッフに求められる一番大切なことは、瞬時にネットワークエラーに気づくことです。日勤なら、周りの目もありますので勤務時間中に寝ていることはないと思いますが、ネットワークは24時間動いています。1人で夜勤をしている場合は気が緩みがちになります。ついつい深夜にウトウトしてしまうわけです。
そしてフッと目を覚ますと監視端末が真っ赤になっている。ちなみに赤いメッセージはエラーを意味しています。監視要員として採用されたのに、寝ていたので監視していなかった。よくある人的障害です。
エラーが発生したのが午前2時、問題に気がついたのが2時20分。空白の20分をどう言い訳すればよいのでしょうか。腹痛ですかね。手汗。監視しているネットワークがどのようなモノなのかが重要になりますけど、金融系なら首ですね。一発退場です。
もちろんネットワークは冗長構成がとられおり2重3重の障害に耐えうる設計になっていると思います。ネットワーク自体はダウンしていないけど、対応の遅れた20分が問題になります。
翌朝、監視チームでのミーティングだけでは、あなたの罪を償うことはできません。顧客に謝罪報告しなくてはなりません。客先常駐しているのであれば、営業や上司が呼びだされ、みんなで謝罪することになります。
私は、日勤や夜勤を繰り返すうちに生活リズムが乱れ、ついつい寝落ちしてしまったネットワークエンジニアをたくさん見てきました。合掌。
ネットワークの運用について
一般的にネットワークの運用業務にはマニュアルやチェックシートがあります。マニュアルのない運用業務はありません。運用監視要員は、定例業務(決まった時におこなう業務)をマニュアルを見ながらこなしていきます。しっかりとしたスケジュールが決まっているなかでの仕事です。障害が発生したら、自分で判断するのではなく運用マニュアルにそった対応をします。
障害が発生した箇所を担当するSEや上級のネットワークエンジニアに連絡することもあるし、運用スタッフが障害対応することもあります。障害発生時の対応は完全にマニュアル化されているので、自己判断する余地はありません。
運用業務の詳細
仕事はマニュアルで定義されています。定例業務の内容をまとめてみます。
- 監視モニターでの状況確認
- サーバー室の監視対象機器を目視してアラートランプの確認
- ネットワーク機器にログインして、アップデートやログを取得するなどの業務
運用監視業務と保守を兼任する場合について
問題が発生した時にどこまで運用監視要員が対応するのかは企業(案件)により様々ですが簡単なトラブルシュートを担当する場合が一般的です。ネットワークの運用業務は簡単な保守を兼ねてる案件も多いということです。もちろんトラブルシュートの範囲は運用マニュアルに記載されています。
例えば、障害の一次切り分けをするけどトラブルシュートはしない。ネットワーク機器の再起動はしてもよいなど。ネットワークの運用監視でも案件ごとに幅があるので就職者に求める能力は一概に言えません。
ネットワーク運用監視の勤務体制
監視を必要とするタイプのネットワークは24時間動いています。当然のことながらネットワークエンジニアも24時間働いています。一般的に勤務は2交代制と3交代制があります。どちらも夜勤があるのでキツイ勤務になりますが、特に2交代制は大変です。
それでは順番に2交代制と3交代制についてみていきましょう。
2交代制の勤務時間の場合
2交代制の運用監視業務は、24時間を2で割った12時間ごとの勤務ではありません。日勤と長い夜勤のところが多いです。夜勤の明けは、休みとなる職場が大半ですが、若くないともたない勤務体系です。
私は夜勤なんてしたくないと思いながら働いていましたが、夜勤の方がのんびり仕事ができることや、夜勤明けの休みがあるので、いつも夜勤を希望するエンジニアもいます。友達や家族と時間を合わせるのに苦労します。一日働いて一日休むイメージです。
■勤務時間の参考例
- 日勤が9時から6時間
- 夜勤が5時30から9時30分など。
日勤と夜勤で引き継ぎを行う必要がありますので、勤務時間は日勤と夜勤で30分から1時間重なります。
3交代制の勤務時間の場合
3交代制は2交代よりも体にやさしい勤務体制です。企業の始業時間や運用体制によって、勤務時間はいろいろあります。
■勤務時間の参考例
- 勤務Aが8時から3時30分
- 勤務Bが3時から11時30分
- 勤務Cが11時から8時30分
こちらも勤務時間が重なっている時間に引き継ぎを行います。シフトは5日継続した後、休みをはさんで変更するところや、3日ごとにシフトを変更する企業もあります。
3交代制でも夜勤はありますので、体調を整えるのが難しいです。
運用監視チームとは
24時間動いているネットワークをひとりで対応することは不可能ですよね。ネットワークの運用監視はチームで動きます。運用監視チームの人数は、規模や予算、また勤務体系が2交代なのか3交代なのかで必要な人数が違っていきます。監視チームに必要な人員は案件しだいです。
メンバー構成は、リーダーとスタッフ複数名です。
勤務地について
勤務先は、大手企業のデータセンターもしくはIT事業部が中心になります。自社のIT事業部からリモートでの監視をしていることろもありますが、客先常駐が一般的です。自社案件以外の仕事は基本的に客先常駐と考えておきましょう。客先で仕事をすることを客先常駐と呼びます。詳しくは「客先常駐のメリット・デメリット」を参考にして下さい。
一般的なデータセンターは、企業の大切なデータを扱う場所になるのでセキュリティーにはとても厳しいです。
未経験者・新卒の方におすすめする理由は
IT未経験の私がネットワークエンジニアとしてのキャリアをスタートさせたのも運用監視業務からなので、未経験者・新卒の方におすすめします。ネットワークについて学び、ネットワークの保守運用や設計構築といった上流工程を目指して下さい。
未経験からネットワークエンジニアになるには
ネットワークエンジニアの面接マニュアル
ネットワークの運用監視業務からキャリアをつくるには
運用監視業務はマニュアル化されているので、エンジニアとして技術レベルが格段と向上することはありません。しかし、ネットワークを理解することはできるので、仕事をしながらネットワークやサーバについて学んで行く姿勢が求められます。これはIT全般にいえることです。働きながら自分のスキルを自分で向上させる必要があります。
ネットワークの運用監視の仕事を5年間したとしましょう。5年間働いたので、設計や構築ができるようになることはありえません。転職したとしても、再び運用監視の仕事に就くことになるでしょう。
運用監視のリーダーとしての仕事に満足していれば、それでよいのかもしれませんが、IT系のエンジニアで新しいことを吸収していかない人は淘汰されていくので注意して下さい。
あなたにモチベーションがあり自己鍛錬を怠らなければ、給与はどんどん上がります。上流工程を目指して頑張りましょう。ITは高度な仕事ほど面白いです。仕事のなかに技術的な面白さをみつけましょう。お金は後からついてきます。
ネットワークエンジニアになるために知っておくべきこと
当記事と合わせて読むとネットワークエンジニアについての理解が深まります。
ネットワークエンジニアの魅力について
ネットワークの運用監視とサーバの運用監視の違い
ネットワークの設計構築とは
新人ネットワークエンジニアの目標はどこ
30代未経験からネットワークエンジニアになるには
ネットワークエンジニアに最適な人材紹介会社・未経験
以上、「ネットワークの運用監視とは」でした。