ネットワークエンジニアの仕事を探していると、「CCNA取得者歓迎」や「CCNP取得者歓迎」と記載されていますよね。そもそも、エンジニアが面接すれば、相手のレベルが把握できるのに資格にこだわる企業がありますよね。
- 「なぜ資格が求められるのか?」
無資格のエンジニアはいくらでもいるのですが、企業が資格取得者を歓迎するのは、資格が実力を証明するからという資格本来の意味合いではなく、営業側の都合があるからです。
資格という物差しがあると、ITを知らない営業でもエンジニアを売り込めるからです。弊社には、CCIEホルダーが2人、10人のCCNPホルダーがいます。ドヤ顔で営業したいだけです。もちろん、仕事を発注する側の安心にもつながりますけどね。
- 企業が資格ホルダーのエンジニアを求める理由
- ネットワークエンジニアと資格について
- 未経験の方が勘違いしていること
- 概要を理解するためには
- 私の体験談
- それでも資格を習得する意味
- 資格ホルダーになることで面接はどれぐらい有利になるのか
- CCNAと就職活動
- CCNPと就職活動
- LPICと就職活動
- 将来的にCCNAやLPICより重要なもの
- エンジニアとして自由になること
企業が資格ホルダーのエンジニアを求める理由
- なぜ、就職するのに、営業がエンジニアを売り込む必要があるのか?
良い質問ですね。8割〜9割ぐらいのネットワークエンジニアは客先常駐しているからです。自社案件に従事しているのではなく、お客さんのインフラを担当しているワケです。顧客のネットワークを運用するために顧客の元で仕事をしています。詳細は下のリンクを参考にして下さい。
客先常駐のメリット・デメリット・ネットワークエンジニアの働き方
プロジェクト(自社・一次請け)を持っている企業がメンバーを募集するときに、有資格者の方が採用しやすいからです。営業スタッフがエンジニアを売り込みやすいからとも言えます。もっと分かりやすく書いてしまうと、営業能力が低いSI企業ほど、エンジニアを資格で武装させたがる傾向があります。
しかし、実務レベルでみると、ネットワークエンジニアに大人気のCISCOの資格はエンジニアとしての技術レベルを証明するものにはなっていません。
私が面接する場合、資格をたくさん持っているエンジニアをみると「あぁ、就活頑張ってるね」ってことで、やる気は感じます。それ以上ではありません。難関資格を取得しているイコールできるエンジニアではないことはIT業界の常識なので技術的な質問の受け答えで求職者のスキルを判断します。
もちろん、資格の勉強をすることは大変なことです。前書きが長くなってしまいましたが、「エンジニアにとって資格ってなんだよ」って話をしましょう。
ネットワークエンジニアと資格について
まず未経験の方が、エンジニアとしての取っ掛かりとして資格を取得するのは良い選択だと思います。基本情報やCCNAでも。資格の難易度と給与を比較してどうといった話ではなく、ITの世界はとても広いので、いろいろなことを学んでいかないと、なにが自分に向いているのかが分からないからです。
ITエンジニアとして未経験であったり、経験が浅い場合、エンジニアとしての適正を判断することはできません。もちろん、ITに興味が無いのは論外なので、好き嫌いが適正ともいえるかも。
ひとまず、ネットワークやサーバ、プログラムなど興味を持ったことを学んでいく姿勢が重要です。エンジニアの学ぶとはサーバを借りて、自分でプログラムを書いてみたり、FWを構築してみたりすることです。資格を習得するのは、学ぶことの一部分でしかありませんよ。
資格を取得すると仕事がみつけやすくなるのは間違いありません。しかし、資格を習得すること=転職や給与アップといった方向に頭のベクトルを向けると高いレベルのエンジニアには到達できません。なぜなら、資格=スキルではないからです。お金を目標にしてしまうエンジニアには限界があります。
未経験の方が勘違いしていること
未経験者の最大の勘違いを紹介しましょう。現状、ネットワークのことは理解できないけどCCNAやCCNPを取得したらネットワークを見通せるようになるはず、というものです。一般的に、TOEICでハイスコアを叩き出す人は英語がペラペラなんだろうな、という勘違いと同じものでしょう。
実践なしに理解なし。
未経験の方は、CISCO社のコマンドラインを覚えるより、ネットワーク、サーバの概要を理解する方が重要です。概要を理解するのが難しいのもITの世界の特徴ですけど。
ITインフラの概要を理解するためには
概要を理解するために手を動かす。本を読んで理解しても、やはり漠然としたものが頭に残っているだけです。やってみること(手を動かすこと)、作ってみることがなによりも大切です。その結果としてコマンドを覚えます。
ネットワークを例にあげても、無数にあるネットワーク機器のコマンドを覚えることは不可能です。コマンドが分からないのであれば、対応機器のコマンドリファレンスを読めばいいわけで、そこに頭のリソースを割くのは非効率です。
IT業界未経験の方が、CCNAやCCNPを取得しても、ネットワークはある程度わかったという実感を得られない理由は、ここに原因があります。手を動かしていないから。
私の体験談
ネットワークの運用監視をしているとき、上記の資格を取得して設計構築への足がかりにしましたが、残念ながらネットワークについての理解はできませんでした。ただIT用語やコマンドを暗記しただけです。
しかし、資格を取得したことで上流工程に関わることができたので無駄ではありませんでしたよ。
それでも資格を習得する意味
企業がエンジニアを社外のプロジェクトに押し込みやすくする為に、また、転職で有利に立つためのものです。SIをメインの業務にしていない企業(WEBやアプリ系の企業や自社のインフラの仕事)になると、資格を重要視しないところが多くなります。ただしネットワークエンジニアというよりサーバやDBを含むインフラエンジニアです。
自社案件を持たずに人を送り出すことで成立しているSI企業の場合は、資格の需要度がグッと増します。
資格ホルダーになることで面接はどれぐらい有利になるのか
採用の決定権をエンジニアが持っているのか、もしくは、人事部が持っているのかでも重要度は変わってきます。エンジニアとの面接の場合、経歴をチェックして、ネットワークやサーバについて会話をするだけで相手のスキルレベルをある程度把握できるので、資格について評価しない方が多いです。
人事部の場合や旧体質の企業、政府関連のプロジェクトでは、資格は重要な意味を持ちます。
例えば、某キャリアでは、マネージャークラスはPMP取得が必須となっています。昇給するために資格が必要ということです。PMPとはProject Management Professionalの略になります。
CCNAと就職活動
ネットワークエンジニアを志望者は、まずCCNAを狙いますが、どのような資格であっても実務経験がないと、やる気を感じる以上の評価にはなりません。もちろん、実務経験を積むことでCCNAで学んだ知識が理解できるので、勉強することは無駄になりません。ネットワークエンジニアになるならCCNAレベルの知識は最低限持っておくべきです。しかし、未経験ならITの概要を幅広く学ぶほうが将来の役に立つので、就活を急ぐならとCCNAもありといったところです。
CCNPと就職活動
自社案件を持たず、社員を外部のプロジェクトに送り込むことで成り立っている派遣会社のようなSI企業では、効果絶大です。しかし、かつての私のように、設計構築をしたことがないのに知識を詰め込むことで資格ホルダーになっても使えるスキルはゼロです。
実務経験とCCNPなら、そこそこの仕事にありつけます。あとはサーバのスキルがあると一人前のインフラエンジニアになれます。
LPICと就職活動について
私はLPICより無機質な資格を知りません。コマンドをひたすら暗記するという悲しい資格。エンジニアというよりオペレーターになりたいならありかも・・・LPICを取得するなら、安いVPSでも借りて、自分でサーバの構築をした方が100倍楽しく、200倍良いエンジニアになれるのは間違いありません。
将来的にCCNAやLPICより重要なもの
- まず、ネットワーク・サーバの概要を理解すること。
- 理解するために、手を動かしてみる・やってみること。
それ以外にも、大切なことがあります。そうです。英語です。ネットワークエンジニアとして生きていくだけなら英語を身につける必要はありません。ITエンジニアとして上を目指すなら必要です。
エンジニアとして自由になるとは
仕事を選択できること=自由。待遇が悪いので競合企業に転職することやフリーランスとして働く。また、海外で仕事をすることもできます。他の記事でも書きましたが、アメリカのエンジニアも日本のエンジニアもベトナムのエンジニアも同じ仕事をしています。
ITの中心はアメリカです。新しい技術についてのドキュメントは英語です。全てのドキュメントが日本語化されているわけではないのでエンジニアにとって英語は重要です。とくにオープンソースの世界は英語ができないと辛いです。
もう一度書きますが、エンジニアとして食っていくだけなら英語は不要ですが、高いキャリアを目指すなら必要です。
着実にエンジニアとしてスキルアップするために戦略が必要です。ブラック企業で使い捨てのエンジニアにされないように慎重に企業選びをして下さい。IT系に強いエージェントを使って将来設計をしましょう。
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ネットワークエンジニアの就職転職とメンタル
満足できる就活ができないなら、派遣で実務を積んで大手企業を目指すことも可能です。
ネットワークエンジニアにおすすめの派遣会社
以上、「ネットワークエンジニアに資格は必要?」でした。
現役ネットワークエンジニアとして
こういった記事は俯瞰するのに
とても有り難く感じました
無償の記事の無償の愛ですね